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アルコール健康障害対策基本法成立

結成50年の念願成る

平成25年12月7日参議院本会議において、超党派アルコール問題議員連盟提案の「アルコール健康障害対策基本法」が可決され、ここに全断連結成以来の念願であるアルコール依存症をはじめとするアルコール関連問題を根本的に解決するための法律が成立した。

大車輪!
アルコ―ル問題議員連盟

平成22年8月、議員連盟総会における全断連のアルコール関連問題基本法制定推進の要請以来、3年有余に及ぶ超党派議員連盟の活躍は遂に「アルコール健康障害対策基本法として成立を実現させるに至った。
思えば昭和61年のアルコール問題議員連盟(以下、議連)発足から26年が経過していたことになる。
今回の要請後、準備期間を経て平成25年5月にはアル法ネット設立総会開催と時期を同じくして、参議院法制局による「アルコール健康障害対策基本法骨子」が完成、平成24年11月の政権交代等による活動の空白期間をものともせず、平成25年度に入ると、議連の動きは一気に加速し今回の成立までその精力的活動には瞠目させられるものがあった。
プロローグ
  • 平成25年5月議連総会が開かれ、政権交代により、長年、基本法制定推進に尽力された櫻井充会長が顧問となり、新たに中谷元衆院議員が会長に、中川正春衆院議員・高木美智代衆院議員が会長代行に、福山哲郎参院議員が事務局長に、あべ俊子衆院議員・赤嶺政賢衆院議員・今村洋史衆院議員・中島克仁衆院議員が幹事に就任。
     新しい執行部の顔ぶれは、各地域で断酒会との繋がりがあり酒害啓発活動に深いご理解を持たれている方々、長年議連で活動されておられた皆さまで構成されており、先行きに明るい確信を抱かせるものであった。
  • 同時に、関係省庁出席のもと衆議院法制局により基本法骨子を条文化した「アルコール健康障害対策基本法案(未定稿)」が発表された。
     法案に定める基本的施策には、断酒会の求める事項が余すところなく網羅されており、又その一方、基本計画策定に十分意見を反映できるよう当事者及び家族を含めた「関係者会議」の位置づけと役割が明記されているなど申し分のない内容である。
     この法案は、その後、反対勢力の疑念を排除すべく若干の修正が加えられたが根幹部分が揺らぐことはなく決定稿へと進んでいった。
断酒会も協力しなさい!
  • 議連執行部は各党合意に基づく内閣委員会提案による平成25年度秋の臨時国会上程を目指し、各党に党内調整を急ぐよう依頼した。
  • この席上、突然、全断連に対し厳しい要望が出された。発言の要旨は、「議連に要請するだけでなく、議連をサポートする努力を払わなくてはいけない。それは全国組織である全断連にしかできない!もっと協力しなさい!」というもので、具体的には以下の2点であった。
    @各地域において地元議員に議連参加と基本法への賛同を呼びかける。
    A地域での基本法に対する社会的関心を高め盛り上がりを図るよう市民の集い等の開催に努める。
    この発破を受けて、全断連は直ちに全国の加盟断酒会に協力要請を発信した。
  • さらに、8月鳥取県断酒会の福間裕隆県会議員から、「端的に地域の声の反映を示すため、都道府県議会に、国に対する『基本法制定推進を求める意見書』を出すよう陳情することが効果的。既に6月の定例県議会で広島県が出している。それに倣うとよい」とのアドバイスを受け、議連からの要望事項と合わせ、議連支援作戦3項目として協力を要請した。
みんな頑張った! 
県議会の意見書が威力発揮
  • 効果はすぐに表れた。9月に開催される定例議会を前に各地域断酒会が従来から繋がりのある県会議員と相談するなどして陳情を開始。
     僅か1カ月の間に、広島県に続き北海道・愛知・三重・奈良・和歌山・鳥取・島根・山口・愛媛・大分・名古屋市で意見書の提出が決議された。
     この驚くほどの素早い対応は、後述の議連拡充の成果、相次ぐ基本法制定を願う集いの開催とともに10月の議連総会で非常に高く評価され全断連の面目を施すことが出来た。
議連拡充運動
  • 平成24年11月の衆議院選挙後、議連の議員数は28名に落ち込んだ。
     その後、自民党内議連が強化されたが議員数の拡充が急がれた。
  • 大奮闘 奈良県断酒連合会が断酒会の先頭を切って行動を起こした。 
    まだ協力要請前の3月、「今やらずして、いつ!」と、上京し、奈良県選出の国会議員事務所を絨毯爆撃、4名の議連参加、3名の基本法賛同を取り付け満点の成果を挙げた。
  • 6月以降、各断酒会の動きが活発化し、連日議連参加、基本法賛同の連絡が入り、8月10日には議連議員数60名、賛同者10名。11月10日時点では議連議員数93名、賛同者16名に達した。これが、各党党内調整の際、大きな戦力になったことは言うまでもない。
基本法制定を願う集い
  • 地域での盛り上がりをアピールする上で一般市民を対象として「基本法制定を願う集い」を開くことは大きな効果が期待できる。
     アルコール関連問題学会を中心に三重かすみがうらクリニックの猪野亜朗氏が企画した名古屋市での「集い」を皮切りに、断酒会が運営を引き受け次々に開催、また現在も引き続きアルコール関連問題学会等が主体となり「基本計画を推進する集い」として企画されている。
     これら集いを盛会にするためには多数の参加者を得ることが必須条件となる。断酒会は運営面だけでなく、この量的な支援という点からも中核の役目を求められた。
  • 愛知で
     5月11日名古屋市東建ホールに449名を集めて開催。議連から中川正春会長代行が出席。

  • 大阪で
    9月1日堺市ビッグアイに1,239名の参加を得て盛大に開催。
     議連から中谷元会長、福山哲郎事務局長、とかしきなおみ衆院議員が出席。20名を超える国会議員からの祝電が届いた。
  • 引き続き岡山で開催され(後述)、2月15日には大分で、5月25日には東京での開催が企画されている。

50周年の日までに!
  • 9月、法案の主務官庁を決定するための議連役員会が開かれた。
     内閣府か厚労省かで協議が難航したが、議員連盟の強い主張により後日内閣府に決定し5年以内に厚労省に移管するという路線が敷かれた。
  • この会議の終了近く、全断連も発言を促され「断酒会50年にわたる念願であること、アルコール関連問題は社会全体に広がる問題であり内閣府以外の省庁ではまとめられない。是非、内閣府で引き受けていただきたい。50周年を迎える11月までに目途がつけば沖縄の式典に花火が上がる」と陳述。中谷会長、福山事務局長が「断酒会の50周年に間に合わせるよう頑張る!」と締めくくられた。
  • この「50周年に間に合わせる!」の発言は、その後、幾度となく開かれた議員連盟総会、役員会で合言葉のように繰り返されることになった。
基本法制定前夜
  • 10月24日議連総会で基本法案は最終確認され、直ちに各党党内合意を急ぐことになり各党出席議員が了承、大詰めを迎え主要議員が出揃い、熱気溢れる、印象に残る総会になった。
  • 10月25日自民党は内閣・厚労合同部会で佐藤みどり政調会内閣部会長、中谷議連会長主導により基本法案を承認。31日政調会・総務部会での承認を得て党内合意が成立した。
  • 公明党はいち早く10月17日公明党高木議連会長代行の主導により、内閣・厚労合同部会で承認。続いて、共産・民主・維新・みんな・・・
  • 11月7日議連総会で各党党内調整の終了と合意成立を確認。
    法案から"未定稿"の文字が削除され確定。
  • 11月16日議員連盟中谷会長以下役員が衆議院議長、衆議院内閣委員長に法案を提出。内閣委員長提案とすることを要請、11月20日に内閣委員会の議決を経て衆議院本会議に上程する方向で調整することになった。
第50回全国(沖縄)大会
  • 大会前日、那覇入りした全断連に中谷事務所、福山事務所より電話連絡で、11月20日内閣委員会開催決定、そのまま衆議院本会議に上程するとの連絡が届いた。
  • 11月17日全断連50周年記念式典、第50回全国(沖縄)大会当日。
     福山事務局長、赤嶺・あべ両幹事、地元の島尻安伊子参院議員、玉木デニー衆院議員が晴れ晴れとした表情で到着。福山事務局長から経過報告が発表され会場が沸く。赤嶺・あべ両議員からは「今度は皆さんが基本法を生かす活動を起こす番です」と激励の言葉をいただく。
  • 議連の約束は果たされ、今度は断酒会に重い付託が回ってきた瞬間である.
12月7日へ
  • 衆議院は通過した。しかし今国会中に参議院で可決されるか否かは微妙な情勢になっていた。問題法案が山積しており与野党の熾烈な駆け引きの中、臨時国会もあと2日。未だ参議院内閣委員会すら開催の目途が立たない。中谷会長に「成立は次の通常国会になるのでは」と水を向けると、ただ一言「あと2日ある」
  • 会期最終日の6日突然、参議院内閣委員会でアルコール健康障害対策基本法が議決された。
  • 固唾を呑んで見守る中、12月7日0時20分、衆議院本会議で満場一致 により基本法案は可決された。
「基本法制定を祝う集い」岡山大会
  • 12月8日岡山市コンベンションセンターで開かれた「基本法制定を願 う集い」の垂れ幕は、急遽、「祝 基本法制定を祝う集い」に変更された。  当初、危ぶまれた参加人数も会場制限を越える520余名に達した。
  • 議連からは、中谷会長、中川会長代行、福山事務局長、あべ幹事、地元の逢沢一郎衆院議員、石井正弘参院議員、柚木道義衆院議員、谷合正弘参院議員が出席された。スピーチもこれまでになくユーモアに溢れた喜びに満ちたもので、大いに会場を沸かせた。
  • 集まった猪野先生はじめ、堀井先生、杠先生、辻本先生等学会関係者、 アスク今成代表、国会議員、誰彼となく満面の笑みで喜び合い、握手する光景が繰り広げられた。
仏できたら魂入れろ!
  • 確かに基本法は成立し、みんなが喜んだ。しかし、喜びだけを表す人は一人もいなかった。共通するのは、「これからが大切だ。喜ぶのは今日、この場でおしまい。仏は作ってもらった、これに魂を入れるのは我々の役目だ」という決意の言葉であった。

付託に応えよう

真に酒害者のものにするために
基本法の仕組み

  • 政府がアルコール健康障害対策推進基本計画(以下、基本計画)を2年以内に策定する。基本計画の策定にあたっては、関係者会議の意見を聴かなければならない。
  • 都道府県が都道府県アルコール健康障害対策推進計画(以下、都道府県基本計画)を策定する。  
    基本計画を基本として、各都道府県の実情に即した基本計画を策定。
  • 政府はアルコール健康障害対策推進会議(以下、推進会議)を設ける。
     関係省庁の職員で構成しアルコール健康障害対策推進のための連絡調整を行う。連絡調整にあたっては関係者会議に意見を聴かなければならない。
  • 内閣府にアルコール健康障害対策関係者会議(以下、関係者会議)を置く。20名以内で、アルコール関連問題の有識者、当事者及びその家族代表とし、推進会議及び基本計画策定にあたり政府に意見具申する。
  • 関係者会議が、基本法に定める各施策「基本的施策」(教育の振興等・不適切な飲酒廼誘引の防止・健康診断及び保健指導・医療の充実等・飲酒運転等をした者に対する指導・相談支援等・社会復帰の支援・民間団体の活動に対する支援・人材の確保・調査研究の推進等)について、政府の基本計画策定に意見を提出することになる
    また、推進会議に対して、その連絡調整に意見を述べる、あるいは督促等を行うことになる。
    この中央官庁での作業は、都道府基本計画策定にあたっても地域の実情に沿った形で同様の仕組みで機能させることになる。

今日から行動開始

基本法対策の仕組み構築

  • 今後、全断連は@基本法の仕組みを各地域断酒会に周知説明しA関係者会議で全断連が主張することを各地域断酒会から吸い上げB各地域のアルコール健康障害対策基本計画に各地域での参画を支援しC全断連と地域断酒会との相互連絡を密にする、以上の点についてタイムスケジュールを設定し円滑な活動が行えるよう体制を作らなければならない。
  • この体制が構築できない、又は機能しない、あるいは時期を失すると、基本法の果実は酒害当事者のもとには落ちてこないことになる。  全断酒会一丸となった協力が不可欠である。
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