躍進する全断連

全断連結成

更なる前進

アルコール問題議員懇談会再開
昭和62年以来中断していたアルコール問題議員懇談会が、平成 2年 5月30日、衆議院第1議員会館会議室で再開された。
今回の再開には幹事役の戸塚進也衆議院議員の力添えと、全国の断酒会が地元選出の国会議員に働きかけた結果、34名の加盟を得た。
懇談会には国会議員の方々の他に、厚生省と・アルコール健康医学協会、下司孝麿、河野裕明両先生にも出席頂き、あらゆる角度から問題を検討して頂いた。
その後、 9月18日に全共連ビル「マツヤサロン」において第2回懇談会、 3年 8月 9日に第3回懇談会と続けて開催された。また、平成2年度には諸先生方の力添えにより、長寿社会福祉基金より補給金を受けることができた。
社団法人三重断酒新生会にも保健文化賞

三重県断酒新生会は、アルコール依存症に悩む人たち 6名が中心となり、昭和47年に断酒会を結成。49年には自力で「断酒の家」を建設。同年12月には公益法人と認められ、社団法人三重断酒新生会となる。昭和62年には日本自転車振興会の補助金を得て「第 2断酒の家」を建設し、同年第24回全国大会を伊勢市で開催。日常の目覚ましい活動が評価され、平成 2年 9月20日第42回の受賞となる。医療との強い連携が活動の原動力となっている。

断酒新生指針と断酒会規範

自らの断酒と断酒会という自助組織の在り方、方向性を示す、全断連のマニアルづくりを井原利理事長が決断、小林理事が松村イズムを基盤とした原案づくりを担当し、一年余りの検討を重ねた後、断酒会員必携の書「指針と規範」が平成 3年 3月に刊行された。
全断連が結成されて30年近くの年月を経ての刊行で、遅すぎた感じもあるにはあるが、長期の実践活動から得た知恵の集大成であることに、大きな意味がある。刊行後、久里浜セミナ-を皮切りに、全国で「指針と規範」の学習会が開催されている。

大野徹名誉会長勲四等瑞宝章受賞

全断連大野徹名誉会長は、平成 4年 4月29日、勲四等瑞宝章受賞の栄誉に輝いた。厚生省やアルコール問題議員懇談会の積極的な力添えもあってのことであるが、この栄誉は単に個人の受賞にとどまらず、全断連が叙勲対象団体として社会に認められたものである。

「もうひとつの人生」映画制作委員会発足

言葉や活字による酒害相談、酒害啓発活動だけではいまひとつ説得力に欠けるため、全断連は映像づくりを模索してきたが、平成 6年 7月16日、全断連内に「もうひとつの人生」映画制作委員会を設置した。製作委員長は井原利理事長で、映画を直接つくるのは、記録映画の専門プロダクション「シグロ」である。

■家族のための「回復への指針」刊行

「指針と規範」の刊行に伴い、全断連では家族のための「回復への指針」発行を検討してきたが、平成 6年10 1日、全断連顧問猪野亜朗氏の協力を得て刊行した。家族自らの回復という視点を持つことで、大きな効果があるものと期待される。

「もうひとつの人生」完成

平成 6年11月よりクランクインしていた「もうひとつの人生」は、平成 7年 6月20日完成した。監督は過去二回、記録映画で文化賞を受賞した小池征人氏で、同年 7月25日、全断連平成7年度総会終了時、神奈川県立精神保健センタ-で試写会が開催された。また、映画制作委員会は映画上映委員会に移行した。

島根県断酒新生会、保健文化賞受賞の栄誉

島根県断酒新生会は、昭和43年結成以来、井原理事長を中心に顧問の福田武雄先生の医道を超越したご尽力を得て、島根県内の会員、家族が一丸となり、30年に亘っての酒害者救済、自立援助を中心とした断酒会活動を積重ねてきた努力が結実したものである。特に、昭和58年までの18年間、島根方式とも呼ばれる県内59市町村に一断酒会づくりを中心としたネットワークづくり、また現在では900人を越える参加者が集う山陰断酒学校の25年継続開校の努力、さらに昭和55年に創設した酒害者救護施設「新生園」における社会復帰、自立更生事業が評価され、平成 7年10月 4日第47回の受賞に輝いた。

「アルコール問題議員連盟」発足

平成11年 6月15日、政界再編により長期間活動を休止していたアルコール問題議員懇談会に代わるものとして、アルコール問題議員連盟が参議院会館に於いて結成された。
今回の結成は幹事役の今井澄参議院議員の尽力に負うところが多く、42名の超党派の衆・参両議員によって立ち上げられた。
また、今までのアルコール問題議員懇談会が酒害者の立ち直りをバックアップする、いわば全断連の応援団的な性格であったのを大きく変更、アルコール依存症対策をはじめ、未成年の飲酒、テレビコマーシャル、自動販売機等のすべてのアルコール問題を包括した活動を目的としたものである。
結成総会には厚生省より3名の出席があり(保健福祉局企画課、精神保健福祉課、健康増進栄養課)、全断連側からも橋本理事長、小林副理事長、西村担当部長が出席、すでに提出してあった要望書の内容を具体的に説明した。

(社)高知県断酒新生会・保健文化賞を受賞

(社)高知県断酒新生会は、全国ネットワークづくりや40余年にわたる酒害啓発活動(酒害相談・断酒学校・出版・アルコール教育等)が認められ、第一生命が主催する第51回保健文化賞を受賞。また、断酒会の基本理念の「分かち合い」にもとづいて、副賞の一部を高知新聞社社会福祉事業団・「命の基金」と「高知県精神障害者自立サポート基金」に寄付した。

アメリカへ最先端アルコール医療研修に

平成11年9月、医療モデル2ヶ所・社会復帰モデル1ヶ所の研修に、全断連から役員を派遣した。回復者がそこの職員となって、酒害者が酒害者を支えている真摯な努力に感銘した。実は、これは断酒会の原点そのものであり、我々の目指す方向とも同じなのだ、と自信を持った。

中・高生向「アルコール教室」啓発

平成12年7月、厚生省地域保険推進事業費補助金により財団法人日本公衆衛生協会を通して未成年者向け酒害啓発用リーフレットを制作。全国の学校に配付した。反面教師である会員の視点から制作しているため、理解しやすいと確信している。

『かがり火』100号を迎え、縮刷版発行

機関紙『全断連』の後の『かがり火』を昭和48年から発行し続けてきた。それらをまとめ縮刷版を制作発行した。平成12年11月号で『かがり火』が記念すべき100号になった。本紙が会員のみにとどまらず、広く愛読されるよう内容の充実に努力したい。

「全断連活動指針21」を発表

21世紀は自助グループの世紀との確信のもと、活動指針21を発表。「躍進する全断連」2001年度版に掲載してある。

『親子を考える』冊子発行

平成13年8月、社会福祉・医療事業団の助成により、「親子を考える、断酒会会員・家族の体験」を発行した。

(社)埼玉県断酒新生会・保健文化賞受賞

平成13年9月に受賞。地域住民・行政・医療と連携を強化し、「行動の断酒」を地道に確実に実践してきたことが評価され、今回の受賞となった。

女性が断酒継続しやすい体制づくりの研究

平成13年10月から平成14年10月まで三菱財団の助成を受けて研究を行った。結果を報告書にまとめ全国断酒会および関係箇所に配布した。

世界精神医学会で模擬例会を開催

平成14年8月、世界精神医学会が横浜で開催された。4年に一回の大会でアジアにて開催されるのは初めてである。このなかで、家族が重要な位置を占めるという日本の断酒会の特徴をいかして、藤沢断酒新生会の会員・家族の皆様が模擬例会を演じた。

全断連ホームページを更新

平成14年12月、全断連のホームページを更新した。読者は相談者であるという考えで制作。相談窓口として断酒会はもちろん、約350件の医療機関・行政・他とリンクをさせていただいている。

アメシスト入会啓発パンフレット作成

平成15年2月、アメシスト(女性酒害者)入会啓発パンフレット5万部を作成して、全国断酒会に配布した。女性という同じ立場での集いが、心の傷を癒していくことを強調した。

全断連ロゴタイプ決まる

全断連のロゴをZDRと決め、ロゴタイプを会員から募集し、平成15年3月決定した。 日本の伝統色「赤」「黒」を基調とし、伝統・品格・信頼感を感じさせるものである。

全断連結成40年を迎える

昭和38年11月10日、高知市において全断連結成大会を開催してから、平成15年11月で40年を迎える。

「定年後を考える」冊子発行

平成16年3月、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、啓発誌・報告書を発行した。

(N)兵庫県断酒会・保健文化賞受賞

平成16年9月に受賞。阪神大震災後の市民活動などが評価され、今回の受賞になった。

「親は子どもに何ができるか」冊子発行

平成17年3月、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、啓発誌・報告書を発行した。

全断連事務所移転

平成17年12月15日、長年慣れ親しんだ豊島区目白の事務所は老朽化のため、千代田区岩本町へ移転した。

「偏見対策マニュアル」冊子発行

平成18年3月、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、啓発誌・報告書を発行した。

「断酒宣言の日」を制定

全断連は11月10日を「断酒宣言の日」に制定した。昭和38年同日が全断連結成大会日である。 「もう(11月)飲ベンバー酒(10日)とまる」

「向き合おう!家族」冊子発行

平成19年3月、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、啓発誌・報告書を発行した。
酒害啓発パンフレット「断酒のすすめ」 リニューアル再版 平成19年10月
酒害教育冊子「酒をやめたい人のために」 リニューアル再版 平成20年8月

全断連の「政府協力」始まる

内閣府主導による、「常習飲酒運転問題対策」
「自殺予防総合対策」について、全断連への協力要請があり、平成20年7月より刑務所矯正プログラムへの参加、自殺予防センターへの協力等、社会に貢献する断酒会が政府協力という形で明瞭に具現化された。

全国飲酒運転撲滅キャンペーン実施

断酒宣言の日を記念して平成20年11月9、10日36断酒会・連合会が参加して全国約70箇所で一斉に「飲酒運転撲滅キャンペーン」を実施した。断酒会初の全国統一行動が実現した。

公益社団法人に向けて

「公益法人認定法施行さる」
平成18年に公布された公益法人認定法が平成20年12月に施行の運びとなった。全断連は、これに先立ち平成20年6月の通常総会において公益法人認定申請を行うことを議決していたが、施行とともに内閣府に対する申請作業の準備を開始した。
「全断連組織改革を決定」
平成20年6月の通常総会において公益社団法人化志向の議決を受け、その準備作業を進めた結果、公益法人認定申請の前段階として全断連の組織制度の改革が必要となった。全断連創立以来の抜本的な組織制度改革を行うべく、全国の地域断酒会への周知・説明を重ね、平成21年3月定例理事会の承認を経て、同年6月の通常総会において議決された。
改革の大綱は①全地域断酒会会員をもって全断連正会員とする②全正会員は平等に全断連会費を負担する③全正会員の中から公正な個別信任投票により代議員を選出する、というもので、従来の志願制の代議員制度から全国地域断酒会会員による直接民主主義に移行するという画期的なものである。
この体制改正により、全断連の公益社団法人認定申請への第一歩が踏み出されることになった。

酒害啓発パンフレット「家族のためのアルコール教室」および「もしかしたらアルコール依存症」を新規発行 平成21年9月

アルコール依存症者の家族がどう病気に向き合えばよいのか、また、依存症か否かの狭間に揺れる当事者とその家族に対するガイダンスとした。

地域連携活動支援パンフレット3点新規発行 平成22年7月

「アルコール依存症から新しい人生へ」
「自殺予防とアルコール」
増加する自殺者問題とアルコールの関係を自殺予防総合対策センターの協力を得て制作。
「偏見をなくすために」
研究冊子「偏見対策マニュアル」のダイジェスト版。

公益社団法人全日本断酒連盟設立

平成22年10月、3年越しで着実に準備を進めてきた公益社団法人への移行認定申請を行い、平成23年3月28日内閣府より移行認定書の交付を受け、4月1日付で社団法人を解散、公益社団法人全日本断酒連盟の登記を完了した。
昭和38年の結成以来、連綿と受け継いできた社会貢献の精神と活動実績が認められた結果であるが、今後は認定法の精神に従い不特定多数の者の利益に寄与する団体としての活動がより一層求められることになる。

アルコール関連問題基本法推進開始

平成22年5月WHO総会において世界アルコールの有害使用低減戦略が採択されたことを契機に日本アルコール関連問題学会を中心にアルコール問題関連3学会が「アルコール関連問題対策基本法」の制定構想を打ち出し、全断連に酒害当事者団体としての協力を要請。全断連はこれに賛同し同年8月にはアルコール問題議員連盟に協力を求め快諾を得るなど本格的な協力活動を開始した。

断酒会アクション・プランを発表

全断連は平成21年、公益法人としての事業展開の方向性と新しい会員の増加と定着化の検討を目的に組織強化部会を発足させた。
同部会は2年半にわたる検討の成果として、平成23年10月、アクション・プランを発表。
同時に本部ならびに各地域にアクション・プラン実行委員会を立ち上げ、その実行推進を図ることとし、地域・本部による合同会議を展開した。

「アル法ネット」設立総会開催 アルコール健康障害対策基本法推進ネットワーク

アルコール関連3医学会と(N)アスク、全断連による略称「アル法ネット」を結成、平成24年5月31日、参議院議員会館において基本法制定を目指す歴史的な総会を開催。
アルコール問題議員連盟はじめ、関連中央官庁、アル法ネット賛同団体多数の参加を得た。
議員連盟から参議院法制局による「アルコール健康障害対策基本法」(案)が提示され、宿願のアルコール関連基本法の議員立法化に向けた活動が本格化した。
アクション・プラン推進パンフレット発行
実行委員会により、アクション・プラン推進の補強資料として、全会員を対象に配布した。
「よりよい断酒生活を送るために」
断酒会の原点に立ち返り、断酒例会のあり方と断酒会運営の基本的事項を再確認。
「回復のために」
高齢者の酒害対策に対応し、高齢者に共通する問題点とその回復についての留意事項。
「二つの否認と解く」
一つ目の否認と二つ目の否認を対比して説明。断酒新生には二つ目の否認の解除が必要。
「家族とともに回復を」
酒害者本人は、個人として、また組織として、どう家族に接すればよいか

アルコール健康障害対策基本法の制定活動

アルコール問題議員連盟によるアルコール関連問題解決のための基本法立法化は、議員間の調整と衆参法制局による検討を経て平成25年5月「アルコール健康障害対策基本法」として条文化された。
各政党内の調整と国会上程・国会審議を控え、議員連盟から、地域における基本法賛同議員の拡充、地域での基本法制定を願う集いの開催、都道府県議会における国に対する基本法制定推進意見書提出の決議陳情等の支援要請を受け、全断連は各加盟断酒会に協力を呼びかけた。
拡充するアルコール問題議員連盟
平成25年5月段階で50名足らずであった議員連盟参加議員は10月末時点で90名、賛同議員は16名に達した。

相次ぐ基本法制定推進意見書
加盟断酒会からの陳情を受けた都道府県議会は、広島県を皮切りに関西を中心に10道県が平成25年9月の定例会で国に対する意見書の提出を決議した。

各地で基本法制定を願う集い
精神医学会と連携した集いを平成25年5月愛知県名古屋市、9月に大阪府堺市、12月に岡山県岡山市で開催、いずれも大成功を収め基本法制定に向けた地域の盛り上がりに貢献した。