(飲酒運転問題から自殺問題へ)
最近、常習飲酒運転者問題の裏にアルコール依存症が隠れていることが指摘され、断酒会も社会的な要請に応えて、その問題解決に向けた協力活動に着手しています。
これまでの断酒会の考え方では「酒を止めた者が飲酒運転するはずがない」わけ
で、対岸の火事と決め込んでもよいのですが、飲酒運転がもとで失職、ついで家族崩 壊というように社会問題化してくるとなると、社会貢献という観点からも真剣に取り
組まなければならなくなったのです。
自殺問題についても、基本的な考え方は「酒を止めた者が自殺するはずがない」であり、自殺するにしても、それは断酒活動から脱落ないし脱落寸前の者ということでした。しかし、常習飲酒運転者問題と同じように考えてくると、断酒会も自殺問題を真剣に掘り下げて、対策を考える必要がでてきました。
(断酒会と自殺未遂の体験談)
最近の断酒会では、自殺未遂者が結構いるわりにはあまり自殺に関する体験談は語 られません。ところが草創期まで遡ると、実に盛んに語られていたことが分かります。
断酒会を創った松村春繁氏は3回にもわたる自殺未遂体験を語っています。
その後、断酒会では自殺問題から関心が遠のいていきます。
その理由は、草創・展開期と異なり、成熟期に入った断酒会活動の主体が会の運営となり、結果として、だんだん内向きになっていったことが考えられます。
各地域での酒害者の置かれている悲惨な状況、アルコール依存症者の飲酒の果てに自殺があるという現実から目が遠のいて、それを断酒会で語らなければならないということをおざなりにしてしまったようです。
しかし、実際にはアルコール依存症者と自殺の関係は、一旦断酒したからといって
縁が切れたわけではなく、再飲酒すれば、それは「慢性の自殺か自分で選んだ自殺か」に繋がってしまうのです。この体験談が断酒会の関心事から外れてはならないのです。 |